どんぐりと民主主義—都道3・2・8号線問題から考える
郊外の自然
國分:僕は、千葉県の柏市というところの出身で、まさしく郊外中心なんですけれども、小さいときから周りに空き地と森がたくさんあったのがどんどんどんどんつぶされてくるのを見てきました。ぼくは千葉県柏市の増尾っていう柏の南の方の…
中沢:松戸ですか?
國分:松戸のすぐ近く、増尾っていうところなんです(松戸は、「関さんの森」の話で有名ですね)。実家の近くは谷みたいな地形になっているんですけど、森をつぶしたら、水が出るようになってしまって、谷の下にある、僕の通っていた小学校の辺りがいつも浸水に悩まされるようになってしまった。もうどうしようもないというんで、貯水池をつくり、さらに校庭の下まで掘って貯水池をつくった。僕はそういうのを目の前で見てきたんです。
小平がなんとなく好きになっちゃったのも、小平が同じような郊外だということもあるんですけど、すごく緑が残っていることに感激したんです。
僕は保育園に非常につよい関心をもっていて、いま本も書いていますけど、保育園の先生にお話を聞くと、土と遊んでいると、土から子どもはエネルギーをもらうんだって言うんです。土といっしょに遊んで、どんぐりを拾ったりしていると、エネルギーをもらって、子どもたちがどんどん元気になっていく。やはりマンションの一室を借りてやる託児所ではそういう経験を子どもたちにさせてやれない。それを保育士の人たちは実践的に知っている。
「エビデンス、エビデンス」ってうるさい時代だから、それを証明してみろと言われるかもしれないけれど、しかしそれはもう実践的に知っている人は知っているんですね。
中沢:僕も、エビデンスを無視する人生をずっとやってきてるから。
國分:えーと、そうですね、中沢さん(笑)
中沢:大学の中ではすごく肩身が狭かったなあ(笑)。