12月8日に開催した「どんぐりと民主主義―小平都市計画道路3・2・8号線建設問題から考える」の講師のお二人、中沢新一さんと國分功一郎さんから、力強い賛同メッセージをいただきましたので、ご紹介します。
小平で展開されているこの運動は、日本の公共事業がこれからどう進められていかなければならないかという大切な問題に、ひとつの方向をしめそうとしています。不況から脱却するために公共事業をおこなうというのは、ケインズ以来の古典的な処方箋ですが、新自由主義的な潮流に逆らって、自民党政府がこの処方箋を採用しようとしていることには、評価すべき点もあります。しかし問題はその手続きです。従来のように形ばかりの住民説明会を開き、異論がでなかったといって、大声で語ることをしなかった住民の意思を無視して公共事業を強行するようなやり方が再開されてしまうのでは、「特殊利害を公共利害にすりかえる詐術」という批判が投げつけられ、ふたたび国民の厳しい審判の前に立たされることになるでしょう。小平の住民投票は対話と熟議を求めたものであって、これからの公共事業の進め方そのものを問いただそうとしています。民主主義とはどうあらねばならないのかを、住民自身が自分たちに問いかけようとしています。私はそういう本質をもったこの運動に心からの賛同を表明します。(中沢新一/思想家・人類学者)
東京都は住民への「説明会」さえ開催すれば、何を行ってもよいのだろうか。250億円をかけ、220世帯を立ち退かせ、大きな雑木林と玉川上水を貫いて480本の木を切り倒す、この36メートル幅の巨大な道路、都道328号線の計画は50年も前に作られたものだ。住民投票を行って住民の意思を問うことは、もしこの社会が「民主主義的」であることを標榜するのならば、最低限の手続きであるように思われる。住民投票の実施を強く支持する。(國分功一郎/高崎経済大学准教授、哲学者)
(写真:加藤嘉六)