市報こだいらが、東京における都市計画道路の整備方針(第四次整備方針)の特集号(平成28年5月5日号)を出した。
この都市計画道路特集号の2面にある地図は画期的だ。これまで小平市がつくってきた都市計画道路の地図と比べて情報が多い。小中学校、大学など、主な公共施設を追加してくれたので、未整備の都市計画道路がどこを通るのか伝わりやすくなった。また、H28年度から、H37年度までに優先的に整備する優先整備路線がどこか、施行者が誰か、整備済み、未整備、事業中など、非常にわかりやすく表示して、市民に伝えようとしている姿勢は評価したい。
しかし、課題がある。なぜ、小平市都市計画マスタープラン改定【中間まとめ】の意見募集が終了する平成28年4月25日直後の5月5日にこれを公開するのか?という点である。東京都が第四次整備方針を公開した3月30日にはすでにわかっていた内容だ。これでは、都市計画道路については「決まったこと」として広報して、小平都市計画マスタープランの議題として取り上げないようにする意図を感じてしまう。この姿勢には大いに疑問を感じる。
都市計画道路は都市計画法上の都市施設にあたるが、都市計画運用指針では、見直しが推奨されている。くわしくは、小平市都市計画マスタープラン中間まとめを読む(その3) 都市計画道路と守るべき自然環境の衝突に記載したので、ご参照いただきたい。そして、都市計画マスタープランは、小平市都市計画マスタープラン中間まとめを読む(その1) 小平市の都市計画マスタープランの進め方についてに記載したが、都市計画法上市民参加が保証されており、まちづくりの将来像を見直していくために位置づけられているものだ。
都市計画マスタープラン改定の中で、まちづくりの将来像を市民参加でつくっていく中で、未整備の都市計画道路については、市民の多様な声を拾い上げてまとめるべきだ。東京における都市計画道路の整備方針(第四次整備方針)の策定の中で、小平市の意見として東京都に伝えて、市民の意向が反映されるよう調整する姿勢が欲しい。近隣都市の中で、都市計画マスタープランの見直し最終年度を都市計画道路の整備方針(第四次整備方針)の翌年にしているのは小平市だけだ。都市計画道路見直しに市民参加を拒絶したい意図があるのかと考えてしまう(近隣他市の改定年度、小金井市H24年、東久留米H24年、国立H24、東村山H23、国分寺H28、東大和H27)
小平市の都市計画道路24本は、すべて1962年、1963年に都市計画決定したものであり、計画決定から53年の年月が経過している。1963年と現在では、時代が違う。当時は命名されていなかった小平グリーンロードや、都心部への上水道としての役割を終えようとしていた玉川上水などは、都市計画道路を計画する際には、なんの考慮もされていなかった。この時代の計画決定を100%として、「平成28年度3月末の整備率は42.6%であり、計画的な整備の推進が課題」などと市報に書くのはおかしい。この点、近隣他市との整備率の比較や小平都市計画道路見直し検討委員会の議論については、小平市都市計画マスタープラン中間まとめを読む(その4) 小平3・3・3により消失してしまう商店街と小平市の果たすべき役割の後半に記載したので、ご参照いただきたい。
さて、以下に、小平市がわかりやすく作ってくれた小平市の都市計画道路と優先整備路線の図(原図)と、図に守るべき小平市の環境と衝突している点を記入した図を並べた。
市報の小平市の都市計画道路と優先整備路線の図(原図)
市報の小平市の都市計画道路と優先整備路線の図に、小平市の守るべき環境を追記した図
玉川上水や周辺の緑地と交差する部分5箇所1)~5)と、小平グリーンロード(多摩湖自転車道)と交差する部分3箇所6)~8)と、小平グリーンロード(野火止め用水)と交差する部分9)と、合計9箇所をあげた。これら交差する都市計画道路がすべて不要などという乱暴な意見を言うつもりはないが、小平市民にとって、大切にしている環境が、都市計画道路の整備より優先されるべき場所も何ヵ所かはあるだろう。また、都市計画道路の施工方法を工夫することで、環境を守る、あるいは、環境破壊を最小にとどめることができる箇所がある。
近隣他市の都市計画道路と守るべき環境が衝突している場合の都市計画マスタープランについては、小平市都市計画マスタープラン中間まとめを読む(その3) 都市計画道路と守るべき自然環境の衝突前半に記載したので参照していただきたい。都市計画マスタープランの改定こそが、市民の意見をヒアリングする最大のチャンスであるので、小平市はこれから始まる地域別構想の中で、逃げずに小平市民の多様な意見を聞いて、都市計画マスタープランに課題として記載して、東京都や近隣市と調整する努力を怠らないでいただきたい。
1)小平3・3・3号線と玉川上水部分の写真
立川市の幸町団地が左側に見えるが、小平3・3・3は幸町団地と平行に、写真手前から奥へと玉川上水を斜めに通過。計画通り作られれば、覆われる部分は数百メートルになる。例えば、このような交差部の自然環境が破壊されてしまうことについては、課題として都市計画マスタープランに記載するべきだ。施工方法を工夫することで環境破壊を最小にすることは出来るはずだ。
7)小平3・3・3と小平グリーンロード(多摩湖自転車道)の交差部
小平グリーンロードの一部である多摩湖自転車道を斜めに交差するため、少なくとも200mは小平3・3・3号線に重なる。写真手前右側から写真奥の左側に小平3・3・3号線は抜けていく。この部分は優先整備路線に指定されたため、H28年度からH37年度までに事業化される可能性が高い。小平3・3・3を南西側に移動するか、多摩湖自転車道を南西側に移動させて、交差部を垂直にすることで犠牲を最小にできる。小平市都市計画マスタープランの中で、「小平3・3・3と、グリーンロードとの交差部分については事業化の際に、整備のあり方を検討する」と記載すべきだ。
ほかにもいろいろ課題があるが、今後、このブログで、他の部分についても写真付きで紹介していきたい。
小平市都市計画マスタープラン地域別構想(案)から小川駅西口再開発を考える
(文責 神尾直志)