都道路計画:見直し住民投票あす 小平市の広報、不十分? 投票呼びかけなし/市民「情報足りない」 /東京
2013年05月25日毎日新聞朝刊
◇「成立要件は投票率50%」
都道計画見直しの是非をめぐる都内初の住民投票が26日、小平市で実施される。投票率が50%に達しなければ開票されないため、投票率が大きな争点となっているが、市は「周知はするが、中立を保つため投票の呼びかけはしない」と強調。市の姿勢に対し市民からは「市の情報提供は不十分で判断できない」と不満の声が上がる。
期日前投票の会場、同市学園東町1の「健康センター」には、市選管が用意したのぼり旗45本のうち27本がある。市は住民投票を前に、全戸配布の市報5日号に住民投票の特集記事を掲載。ポスター100枚を掲示し、告示日に発送した入場整理券に、住民投票を実施する経緯を説明した資料も同封した。
市選管は「普通の選挙以上に周知している」と説明するが、期日前投票に訪れた藤沢純孝さん(78)は「街中ではほとんど住民投票の広報を見ない。情報提供が不十分」。大学院生の宮崎佑希さん(23)も「いろんな情報がほしいのに市からの情報が足りない。投票に行ってほしくないのでは」と疑問視する。
「50%」の成立要件は、住民投票条例の成立後に、都の事業に対する住民投票に難色を示してきた市が「後出し」で提案し、成立した。
小林正則市長は20日の記者会見で「ボイコットも許容できる」と住民投票に否定的な見解を改めて主張。「私の立場で投票へ行こうと言えば中立性を保てない。(自分が投票するか否かは明言せずに)墓場まで持っていく」と述べた。
成蹊大法科大学院(武蔵野市)の武田真一郎教授(行政法)は「50%の高い成立要件を課したこと自体が棄権を促しており、中立ではない。住民投票が行われる以上、市民が判断するために賛否両方の意見を提示するのが市の役目だ」と批判している。
投票は26日午前7時〜午後8時、市内27カ所で行われる。府中市〜東村山市間の都市計画道路「3・2・8号線」のうち小平市の1・4キロについて「住民参加で計画を見直す」か「計画の見直しは必要無い」かを○をつけて選ぶ。
【林奈緒美】
〔都内版〕
2013年5月25日 朝日新聞 朝刊