資料編:交通量のこと2

資料編:交通量のこと1の続編です。

前回も出て来た下の図(図表1)の、データとしての問題性について、こまかくなりますが、見ていきたいと思います。

この図をぱっと見た印象では、大多数の方が、町田市から東村山市まで貫通する「南北交通」が22%増加というイメージを受けるのではないでしょうか? この図には、実際には必要な、言葉による説明が省略されています。
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(図表1)

下の図表2は、東京都が図表1の根拠としている「OD表」を整理したものです。平成11年と17年に行われたOD 調査の結果を比較し、トリップ数の変化を示しています。+がついた数字が増加、ーがついた数字が減少を示します。

OD表はアンケートによって作成されており、平成17年度のOD調査では、都内全域の自動車の登録台数約389万台のうち、アンケートに回答したのは1万4,515台です。これを統計的に拡大処理したOD表が、どれだけ真実を表していると言えるのか、それがまず大変疑問です。※注1

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(図表2 東村山から町田の6市間のトリップ数の変化(H.11〜H.17))

図表2を見ると、H.11年から17年の間に、6市間全体で合計5,349トリップ増えていることがわかります。平成11年の計62,000トリップに対して、約5,000トリップの増加で、「8%増」となり、図表1の数字と一致します。

しかし、その中味をよく見ると、増加分のほとんどは、小平市・東村山市間の発着で占められていることがわかります。その他は、多摩市・町田市間がいくらか増えていますが、小平市・国分寺市間や、国分寺市・府中市間などは、逆に減っています。

つまり、OD表の数字が正しいとしても、「6市間」の増加とは、実は、ほとんどが小平市・東村山市間の増加を示しているのです。

図表1が与えるイメージは、道路の費用対効果について、説得力を持つように見えます。しかし、元になったデータから、町田市から東村山市まで貫通する「南北交通」が22%増加という結論を導き出すことには、大変無理があります。

※注1 OD表とは、自動車所有者の一部を抽出し、ある期間に自動車を「どこから」(発、Origin=O)「どこまで」(着、Destination=D)運転したか(トリップ数)を尋ねるアンケートを実施し、それを統計的に拡大処理したものです。「OD調査は、・・サンプルデータを母集団に復元する・・拡大処理・・のため、多重クロス集計などでは、・・統計的精度が十分に得られない場合もある」と、「東京都の自動車交通の実態-平成17年度自動車起終点調査より-」(平成21年2月)に書かれています。

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