第一回口頭弁論の報告

投票用紙の情報公開(非公開決定処分の取り消しと公開の義務付け)を求める裁判の第一回口頭弁論が10月21日(月)に開かれました。(※翌日の新聞等に掲載された記事はこちらへまとめています)

◆当日の流れ
原告:訴状・準備書面陳述、書証提出(甲2のみ原本確認、残りは写し)
被告:答弁書陳述、書証次回提出(原本照合済み)
※法廷では、原告側2名の意見陳述がありました。被告側は答弁書を法廷で読み上げてはいません。答弁書陳述とありますが、読まなくても書類が提出されれば、陳述されたことになります。

原告:水口和恵(外3名)
被告:小平市(出席は職員3名)
原告代理人弁護士:三宅弘 中島敏 時井真 尾渡雄一朗
被告代理人弁護士:中島信一郎 川村潤司 棒田洋平

◆意見陳述(メモ)
1 三宅 宏弁護士(法廷でメモがとれることの契機となった法廷メモ事件、多くの情報公開訴訟を経験し、情報公開制度に関する高い知見を有する。2010年の政府の行政透明化検討チーム座長代理)
「小平の住民投票は、マスコミでも大きく報道されたので、みなさんよくご存じと思いますが」という言葉からはじまりました。
情報公開法が制定されて10年以上経過し、情報公開が進みつつある。小平市の自治基本条例は小平市の憲法のようなものであり、この第5条には「市民及び市内に事務所又は事業所を有する法人その他の団体は、市政に参加をする権利を有する」、第6条には「市民等は、市政に関する情報を知る権利を有する」と書かれている。小平市の情報公開条例には憲法21条が保障している「知る権利」が明記されており、小平市では、特に、知る権利が保障されるべきである。第7条(1)に書かれた「法令等の定めるところにより、公にすることができないと認められる情報」の解釈が争点になる。ここでは法令秘はきわめて限定的なものとされており、厳格に解釈してほしい。最後に、この裁判は我が国の「知る権利」に関する裁判として重要な意味を持つと括られました。
<後日三宅弁護士が裁判所に話した内容のメモを提出予定。>

2 原告 水口和恵
住民投票を直接請求したのは、あくまでも住民の意思を確認するためだったことを述べ、住民投票の成立・不成立に関わらず結果を知りたいという市民の率直な思いを切々と語りました。
<意見陳述全文は後段にあります>

・意見陳述のあと、次回の日程を決定し、閉廷しました。

◆今後の流れ
この後、原告が、被告小平市の答弁書に対する反論書面を作成し、それに対し、被告が反論書を提出します。それをもとに、次回法廷が開かれます。そうしたやりとりは数回行われる予定です。次回は以下の日程です。ぜひ、傍聴にいらしてください。

第2回口頭弁論
12月16日(月)13時30分~ 地裁522号法廷(霞ヶ関)

法廷が終わった後、弁護士会館の1階で弁護士さんたちがお話しくださいました。この裁判はとても意味を持つ裁判だということを強調され、楽しくやっていきたいとおっしゃってくださいました。
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水口和恵の意見陳述(全文)

1.住民投票の実施を請求した理由

今年5月に小平で行われた住民投票は、都市計画道路3・2・8号府中所沢線計画について、「住民参加により計画を見直す」べきか、「計画の見直しは必要ない」かについて、市民の意思を確認することを目的としていました。

都市計画道路には、住民の意見を反映する仕組みがありません。小平3・2・8号線の予定地には、220戸余りの住宅と、地域に残された貴重な緑地である小平中央公園横の雑木林、史跡・玉川上水があります。

市民の多くは、50年前につくられたこの計画をどう思っているのかを明らかに示したい、そんな思いで、住民投票を請求しました。

2.住民投票実施に向けた努力

住民投票を実施するには、市内有権者の50分の1の署名を1か月で集める必要がありました。約3,000名もの署名を1か月で集めることができるか不安でしたが、始めてみたら、必要数の2倍以上の7,183筆の有効署名を集めることができました。その次には、市議会で条例案を可決させるため、市議の皆さんに条例案への賛成をお願いするハガキを出すなどの働きかけをしました。

3月市議会で、住民投票条例が可決されたときは、とても嬉しかったです。しかし、その後、4月7日の市長選を経て再選された小林市長が、4月24日の臨時市議会で、住民投票に成立要件50%を付ける改正条例を提案し、市議会が議論不十分なまま、それを可決してしまいました。

3.50%という成立要件の問題点

投票率50%という高い成立要件は、達成が難しいことが予想されました。平成13年以降、小平市で行われた7回の市長選挙と市議会選挙は、いずれも投票率が50%に達していません。小林市長が再選された4月7日の市長選挙の投票率も37.28%でした。
市は、50%という成立要件は、常設型住民投票条例の多くで採用されている、と説明しましたが、これまでに全国で実施された住民投票21例のうち、常設型に基づくものは2例のみで、市民からの直接請求による個別型の住民投票で、成立要件が付けられたのは初めてでした。

50%という高い成立要件は、様々な点から投票率を下げる働きをしました。「どうせ50%に達するはずはないから、投票に行く気がしない」と言う人がいました。早く道路を建設すべきと考える人には、住民投票を不成立とするために棄権するという選択肢ができてしまいました。ドイツでは、不成立を狙った住民投票の棄権を回避するため、絶対得票率という概念が導入されています。

小平市が、住民投票条例可決の後に50%という高い成立要件を後付けしたことで、住民投票を通じてより多くの市民に道路計画についての意思を示してほしいという本来の意図が、ねじ曲げられてしまったのはとても残念です。

小平市が、投票率を上げるために十分努力しなかった点も残念です。市が行なった広報としては、市報に住民投票についての記事を掲載したこと、などが挙げられますが、都内初の住民投票の広報として、十分と言えるものではありませんでした。住民投票を知らせるポスターも作られましたが、印刷部数は100枚程度で、目にした人は少なかったと思われます。

4.投票結果を知りたい理由

投票率は35.17%でしたが、市内有権者の3分の1以上にあたる51,010人が住民投票に参加した事実は、重く受け止めるべきです。市議会で、副市長は、成立しなかった場合も、投票結果はデータとして把握し、道路造りの参考にしたいと発言しました。

たとえ不成立であったとしても、投票の結果がどのようなものか知りたいのは、投票に参加した市民として当然です。税金を使って実施した住民投票の結果は、市民のための道路造り、まちづくりの参考にしてほしいと願います。

住民投票では、20~50代の若い世代の投票率が、普段の地方選挙よりも高かったことが示されました。市政における意思決定やまちづくりに参加したい、という若い人たちが示した参加意欲が、失望とあきらめへと変わってしまうとしたら、残念です。住民投票を通じて、小平で芽生えたまちづくりや都市計画、市政への参加意欲を将来へ大きく育てていくための一歩として、住民投票の結果が明らかにされることを切に願います。

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