小平市都市計画マスタープラン改定【中間まとめ】を読む(その2)、小川駅西口、小平駅北口再開発について

小平市では、現在、小平市都市計画マスタープランの改定を進めており、現在、中間まとめが公表されており、4月25日まで意見募集している。

前回はブログで、都市計画マスタープランの解説と、小平市のH27年度からの取り組みについて説明した。
今回の中間まとめの全体構想で、H19年度の都市計画マスタープランから比較して追加された点のうち、都市計画マスタープラン見直しの過程で、情報公開、意見集約が不足している点についてまとめる。以下が今回の都市計画マスタープラン見直し【中間まとめ】で新たに追加された点だ。

・小平市民等提案型まちづくり条例の活用の推進(P3)
H19年の改定の小平市都市計画マスタープランの際に、参加と協働のまちづくりのため、市民が地区まちづくり準備会や協議会をつくって、建築協定のような自主ルールである「地区まちづくりルール」を作ることが出来る条例であるが、活用事例が1件もない。利用を促進したいという趣旨
・風致地区の見直し(P20)
樹林地、水辺地などで構成された良好な自然的景観を維持するため、都市計画法により条例により規制をかけられるのが風致地区である。
風致地区の指定がH26年度から東京都から基礎自治体に移管されたことが背景にある。
・小川駅西口地区、小平駅北口の市街地再開発事業及び、土地の高度利用(P33)
・あかしあ道りグリーンロード基本計画(P38)
・都市計画道路の優先整備路線について、東京都の第四次事業化計画との整合(P45)
小平3・3・3号線、小平3・4・10号線、小平3・4・19号線と小平駅北口交通広場、小平3・4・12号線と小川駅西口交通広場

この中で、小川駅西口地区、小平駅北口の市街地再開発事業及び、土地の高度利用について、無作為抽出アンケート及び、見直し検討委員会での議論を見ていく。その1で、述べたとおり無作為抽出アンケートの駅周辺の商業地としての形成の要望がとくに高い(P39)、駅前広場の整備についても、要望がある(P40)。駅周辺の再開発については、市民の意向に沿った開発と言えるかも知れない。しかし、土地の高度利用については、無作為抽出アンケートでは取り上げていない。見直し検討委員会の第五回議事要録及び第六回議事要録で、両駅の市街地再開発事業については話題になっているが、詳細には触れておらず高度利用については議論はされていない。H19年改定のマスタープランでも土地の高度利用という言葉は何カ所かに出てくるが、小川駅西口、小平駅北口を高度利用するという記載はない。

いつのまにかに”高度化”になったかと言うと、この10年で計画が進んだことになる。小川駅西口再開発準備組合はH19年に、小平駅北口再開発準備組合はH27年9月に設立されている。市街地再開発組合とは、都市再開発法による再開発の一手法で作られる地権者による組合組織である。開発する地域の土地所有者及び借地権者のそれぞれ3分の2以上の同意を得て、しかも、同意者の所有面積が総権利面積の3分の2以上である場合に、知事の認可を受けて組合を設立し、施工者となることができる。つまり、法律上は2/3の土地の地権者が知事の認可で、裁量をもって施工できることになっており、この10年間で小平市も支援して取り組みを進めてきたのだ。

小川駅西口については、小川駅前周辺地区まちづくりビジョンをH25年につくっている。以下の資料の挿絵の抜粋。

小川駅前周辺地区まちづくりビジョンの法的な位置づけははっきりしないが、小平駅都市計画マスタープランの地域別構想を補完するものと記載がある。小平市の都市開発部 地域整備支援課の支援を受けて、小川駅前周辺の6つの自治会、4つの商店会、小川駅東口にあるブリジストン、小川駅西口地区市街地再開発準備組合の12の代表者で平成24年6月から平成25年3月に4回の懇談会をもって、まとめられたことがわかる。第4回の協議会によれば、周辺市民の地区内の1508件にアンケート配付して36件(回収率2.3%)の意見を集めたという報告があるが回答が少なく周知されているのか懸念される。小川駅前周辺地区まちづくりビジョンには以下のような将来像と方針が書かれている。
将来像
安心して心豊かに暮らせるまち
安全 快適 便利に動けるまち
小川の魅力と活気が感じられる賑わうまち

まちづくりの方針
便利な駅近くで様々な活動ができる「高度に集約したまち」をつくります
地区の中心となる「小川駅前の再整備」を目指します
生活道路の通過交通を解消する「新たな幹線道路」の整備を早期に進めます
まちで活動する人たちが「安全に東西を往来できる道路」を目指します
福祉のまちとして「誰もが安全に移動できる歩行空間づくり」を目指します
賑わいを周りの商店街につなげる「人の流れを生み出すみち」の整備に取り組みます

地元住民の代表や、地権者、商店街代表、近くに工場があるブリジストンまで入って協議した内容なので、一定の地元住民の意志が集約されたものなのだろう。「高度に集約したまち」には、超高層タワー型(100m級)を複合住宅のシンボルとするとしており、さらに、地区計画の導入し、用途地域を見直すことを検討していることがわかる。
検討に要した予算は、H25年度の小平市一般予算決算書付属書類によれば、まちづくりビジョン作成の費用はわずかであるが、都市計画資料業務委託費として、小川駅西口東京都補助金376万円と小平予算で348万円で、合計724万円の公費が使われている。H19年の都市計画マスタープランにはほとんど記載がないのに、小平駅都市計画マスタープランの地域別構想を補完としているということに疑問を感じる。パブリックコメントも行っているが、どれだけの市民が知っているだろうか?小平駅都市計画マスタープランの地域別構想を補完するなら、今回の見直しでもしっかり内容を公開して、見直し委員会でも議論を行い、正式に、小平駅都市計画マスタープランの地域別構想を補完するビジョンとして練り直すべきだ。

さて現在、小川駅西口は再開発されていない。その後の経過で小平市が公開している情報を追いかけてみると、小川駅西口地区市街地再開発準備組合からのお知らせというものがあり、H28年の1月に、「東日本大震災や東京オリンピックなどによる建築工事費高騰の影響を受け、平成 27 年度は事業計画案の見直しを行っているところです。 」という発表をしている。

これ以上に計画を説明している資料を探したところ、H26年9月22日の小平市議会のまちづくり特別検討委員会で、市議向けに説明があって議員向けに配付された資料があった。下記の資料は、委員会の中で配付された説明資料である。小平市のホームページでは公開されていない。委員会での小平市都市建設課の説明を抜粋する。

 

<開発エリアを地図におとした絵は、小平市都市計画マスタープラン地域別構想(案)から小川駅西口再開発を考えるに載せました>
・地下1階、地上30階、建物高さが107メートル、建築面積約4,000平方メートル、延べ床面積は約4万6,600平方メートル
・計画住戸数は約280戸
・収入は、補助金、都市計画道路部分の負担となる公共施設管理者負担金、さらには保留床処分金
・建設工事費が約155億4,000万円で、全体の83.2%。収入は保留床処分金が約118億1,000万円で、全体の63.2%
・補助金の内訳は、国費が約29億円、都費が約10億円、市費が約10億円、計49億円
・公共施設管理者負担金は都市計画道路小平3・4・12(富士見通りから小川駅まで)、国費が約10億円で、都費が約2億円、市費が約8億円
・公共施設として、小川西町地域センターなどを入れる事も検討している。
・小川駅については地権者39名中、32名が再開発準備組合に加入
・建設費155億円が、高騰したため事業が成立しなくなって、事業案を見直ししている。

収支計画の「保留床」というのが住宅部分で、118億円の収入を見越している。ここに280戸ということだと、1戸あたりの平均販売価格が4,214万円ということになるが、建設費が高騰したため、住宅販売価格を上げなくてはいけないが、無理があるため、事業計画を見直すということがわかる。

都市計画マスタープランに話しを戻すと、ここまで詳細な検討と、事業計画があるにも関わらず、都市計画マスタープラン見直し検討委員会でも、議事要録や配付資料を見る限り、小川駅まちづくりの再開発事業を行っているという程度の説明しかしていない。

商業施設、公共施設、プライベートな住居という空間がひとつの建物に収まると、今後の大規模修繕工事などメンテナンス費用と、その分担も心配だ。市費が余計に使われるような事態にならないだろうか?都市再開発法により組合施工で、地権者とともに計画をすすめていいるが、補助金にも市費約10億円、都市計画道路小平3・4・12部分で市費8億円を使うのだ。また駅の利用者は周辺の市民にまで拡がり、その利用者が利用する商業施設であり駅前広場だということを忘れてはいけない。107mの高層マンションとなれば、景観の問題もある。何故、107mの高層マンション案しかないのだろうか?駅前広場案のみの案や、公共施設と商業店舗の2階建て案など、複数案はつくれないのだろうか?投入する税金がそれぞれの案でどれくらいになるか、複数案で示して、市民から意見募集しやすくして、進めることは出来ないのだろうか?

建設費用が高騰して延期になったのだから、都市計画マスタープランの見直し過程の中でも説明されて、市民の駅周辺施設への要望をすいあげて計画に反映する努力をすべきだ。まちづくりカフェ第6号ニュースでも、「小川駅前再開発に関する検討が進んでいると聞いたが、どのようになるのか。個人的には大きなビルは必要ないと思っている。」という声があがっており、再開発事業への説明が足りないことを意味している。

小平駅北口再開発準備組合はH27年9月と準備組合設立は最近だ。小川駅西口同様、都市計画マスタープラン見直しの過程できちんと市民の意見をすいあげてすすめてもらいたい。小平駅北口から、新青梅街道につながり、東久留米市につながる都市計画道路の小平3・4・19号線についても一部の区間が、優先整備路線になった。小平市はH26年9月にアンケートを行っている。優先整備区間になった小平3・4・19上に住む地権者と沿道50m付近の市民312人への市民へのアンケートで、89名から回答を得ており、回収率は28.53%。この中で、P35の沿道の街並みについての回答があるが、回答者は、賑わいのある商業地、マンション、事務所などが建ち並ぶ街並みには否定的で、戸建てが並ぶ住宅地を希望していることがわかる。これは都市計画マスタープランでの無作為抽出アンケートでの駅周辺の商業地として形成のあり方の要望(P39)とは、逆になっている。近隣住民の希望と、駅の利用者全体の希望が異なると言うことを踏まえた土地利用のあり方を、都市計画マスタープランの地域別構想を検討する際に、丁寧に議論して留意して進めていただきたい。

その3では、開発計画と、保全すべき環境が衝突した場合についての、多摩地区の近隣市の都市計画マスタープランとの比較も行いながらブログにまとめたい。

小平市都市計画マスタープラン改定に戻る。

小平市都市計画マスタープラン【中間まとめ】を読む(その3) 都市計画道路と守るべき自然環境の衝突、近隣都市の取り組み

小平市都市計画マスタープラン地域別構想(案)から小川駅西口再開発を考える

(文責 神尾直志)

広告