2015/12/13シンポジウム&意見交換会「5万人の投票用紙は焼却された」報告(前半)

大変遅くなって申し訳ありません!

昨年12月13日(土)に開催したシンポジウム&意見交換会「5万人の投票用紙は焼却された」の報告(前半)をアップします。

 尾渡弁護士には、小平住民投票情報公開裁判をふりかえり、第一審、控訴審、上告審のそれぞれの主張の論点、判決の問題点について、わかりやすく解説していただきました。判決への所感として、この判決が、今後の住民投票で、自治体側が結果を見せたくない場合に、そういう規定を設けて公開や開票をしないで結果を闇に葬り去る道を開いてしまったのではないか、 また、せっかく住民投票等により自分たちのまちのことは自分たちで判断しようという住民自治が行われ、そういう動きが他の自治体にも波及している中で、こういう動きの発展に水を差す判断なのではないかと懸念を示されました。

 中島弁護士は、住民主権の発現の場、地域住民の主権行使の場としての住民投票の重要性に言及し、最高裁判決で住民投票の非公開が認められてしまった現状で、「まだできること」として、小平市自治基本条例の「市民投票制度」についての条文中に、市民投票が実施された場合は、「速やかに開票を行い、その内容を告示する」という文言を加えるように改正することを提案されました。

 また、小平以降に行われた北本市、つくば市、小牧市の住民投票では、いずれも成立要件は付けられずに開票された結果、多数を占めた住民の意思が政策に反映されたことを指摘し、小平市でも結果が公表されていれば大きな影響力をもったであろうし、住民投票に成立要件を設けることには非常に慎重にならなければいけない、と主張されました。

資料「最近の住民投票」(pdf)

 武田先生は、判決は住民投票の結果を法令秘情報としたが、住民投票の結果は秘密として保護に値しない、それでは「市民の声を聞きたくない」行政を保護するということになってしまう、と、裁判所が市民の知る権利でなく市の利益を擁護したことを批判されました。また、情報公開は原則開示の原則、つまり、行政情報は公開するのが原則であり、市側が公開できないと言うなら、非公開情報であることの立証責任は市の側にあるが、判決では行政に有利になるよう立証責任を軽減していると指摘されました。

  また、提案として、投票率によって住民投票の成立要件を決めることはおかしいと徹底的に批判すること、 住民投票の結果は焼却されたが、それでは市はこの計画に市民の意見をどうやって反映させるつもりなのかを問い続けていくことを挙げられました。また、住民の意見を政治や行政に反映させるには、個々の住民の熟慮と参加が不可欠であり、このシンポジウムのように集まって話し合う取り組みを続けることしかないと結ばれました。

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2月16日(月)最高裁への上告にあたって記者会見を行いました。

2月16日(月)最高裁への上告にあたって記者会見を行いました。充実した内容の記者会見に、この裁判の意義を改めて感じ、聞いていて胸が熱くなりました。

最初に、尾渡雄一朗弁護士が原告代理人として、本訴訟の概要、原告の主張、第一審判決の内容、控訴審判決の内容、上告審における主張について話されました。投票の秘密に関しては、具体的にどういう時に投票の秘密に触れるのか一切書いておらず、根拠無く断じていると指摘されています。

尾渡弁護士は、最後に、上告審における主張として、基本的にはこれまでの通り①法令秘情報に該当しないこと、②公開が要請されること、③投票の秘密が侵害されるおそれがないことを最高裁でも主張するとした上で、特に法令秘情報については、「単に法令により秘密とされた情報ではなく、秘密とするに足りる正当な根拠があってはじめて法令秘情報に該当する」と強調されていました。「地方公共団体が公開したくない情報を法令により秘密とすれば容易に非公開情報とすることが可能になり、情報公開制度を設けた意味がなくなってしまう」という点は、今、とても重要な問題だと感じました。

尾渡弁護士記者会見資料

また、反映させる会共同代表の水口和恵は、「市民の知る権利の重要性を十分に考慮した判決とは到底思えない」、「投票結果は小平市民のものであり、それを市民に返してほしい、というのは市民の当然の権利ではないのか、最高裁判所がきちんと判断してくれることを望みます」と意見を述べました。

*水口記者会見資料

この後、中島敏弁護士が、原告代理人としての主張に3点補足されました。

1)第二審は第一審よりも著しく憲法に反する判断をしている。判決文の4ページに「情報公開請求権は,知る権利の尊重により当然にその内容が保障されるわけではなく,条例によってその内容が決定されるものである」という文言があるが、これは知る権利が条例の規定によっていくらでも制限できるという内容だ。このような解釈が成り立ってはいけない。

2)小平市住民投票条例の趣旨・目的は、条例の第1条に明記されている「道路計画について、見直すか見直さないか、市民の意向を確認する」ということだ。「不成立の場合は開票しないこと」とし、小平市は何人が投票したかだけを公表し、見直すか見直さないかという市民の意向を公表していない。これは条例の趣旨・目的に反している。

3)投票の秘密について万全に担保する手段として、公証人制度にもとづく事実実験公正証書の制度で集計してもらうこととしているが、判決は「公職選挙法等の開票に関する規定に従わない投票の集計を行うことに投票の秘密を侵害する危険がないと断定することには,疑問の余地があるといわざるを得ない」とする。公証人には自分の取り扱う業務について罰則付きの秘密保持義務があり、秘密を漏洩したという事例は一度もない。高裁の判断は明らかにおかしい。

また、武田真一郎先生から5点の論点が指摘されました。

1)秘密とは何なのか。「秘密とは、非公知の事実であって秘密として保護に値するものをいう」とする最高裁の判例がある。なぜ住民投票の結果が秘密として保護に値するのか?全く理解できない。これが最大の問題だ。 役所は自分たちが決めたことを変えたくない。不利なことを隠そうとする。なぜ50%を超えないと成立しないと決めたのか?市民の声を聞きたくないのではないか?それが役所の本音では?そういう考えが保護に値するのか?これはおかしい。 この判決は、最高裁の判例に違反している。

2)情報公開は原則開示の原則だ。公開できない場合は、非公開とする側(市)に立証責任がある。投票用紙に記された情報が秘密に当たるとはいえないし、投票の秘密が害されることもあり得ない。控訴審で市は立証責任を果たしたとは言えない。高裁は条例の解釈を誤っている。

3)この判例が確定すると、本来秘密と認められないことを秘密とすることが認められてしまう。事実上、原則不開示となりかねず、情報公開制度が非常に後退することになる。

4)この判例が確定すると、住民投票制度に悪影響を与える。他の行政がまねをするだろう。徳島や小平のように50%の成立要件をつけるやり方を正当と認めることになりかねない。

5)所沢の今回の住民投票では絶対得票率による尊重要件をつけている。この場合、必ず開票しなければいけない。今、市長、議会、市民でこの結果をどうするかを真剣に議論している。このほうが市政の発展にとってはるかに意味、価値がある。小平の制度にいかに問題が多いかが浮き彫りになった。

(文責:尾川)

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上告にあたって記者会見を行います

報道関係の皆様

小平市で行われた住民投票の投票用紙の公開を求める裁判で、2月4日に東京高等裁判所から控訴棄却の判決が出されたのを受け、2月16日(月)に最高裁判所に上告し、同日14:00~司法記者クラブにて記者会見を開催します。会見では、地裁・高裁の判決の問題点や、上告の理由などについて、原告および代理人弁護士より説明させていただきます。

ぜひ会見にご参加いただき、ご取材・ご報道いただければ幸いです。よろしくお願い致します。           

●記者会見
日時:2015年2月16日(月)14:00~司法記者クラブにて。

内容:2013年5月に小平市で行われた住民投票の公開を求める裁判の地裁と高裁の判決の問題点と、最高裁判所への上告の論点について
*高裁の判決等の資料は、こちらのページにあります。

武田真一郎先生が控訴審判決の感想をお寄せくださいました。

成蹊大学法科大学院教授の武田真一郎先生が控訴審判決についての感想をお寄せくださいました。今回の判決文の問題点がわかりやすく整理されています。ぜひご一読ください。

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控訴審判決の感想

                    2015.2.4
成蹊大学法科大学院教授(行政法) 武田真一郎

 判決は、要するに住民投票の結果は「法令秘情報」(法令により秘密とされた情報)だから公開しなくてよいと言っている。しかし、最高裁判例によれば、「秘密とは非公知の事実であって秘密として保護に値するものをいう」とされている。住民投票用紙には都市計画道路の見直しが必要かどうかについて市民の意見が示されているが、なぜこのような市民の意見が秘密として保護に値するといえるのか。市が投票結果の公開を拒否しているのは、「市民の意見を聞かずに計画通り道路建設を進めたい」という本音があるからだろう。裁判所はこのような正当とはいえない市の本音を保護に値すると言っているに等しく、きわめて問題だ。

小平市を含めて情報公開条例は「原則開示の原則」をとっており、法令秘情報に当たることの立証責任は小平市(被告)にある。市は投票用紙が法令秘情報に当たるというだけで「秘密として保護に値する」理由は何も主張していない。それにもかかわらず市の主張を認めた本判決は、原則開示の原則を逆転させて「原則不開示の原則」をとったことになる。その意味で情報公開制度を大きく後退させる不当な判決だ。

さらに、小平市情報公開条例は市民が行政情報を「知る権利」を明確に保障していること、住民投票条例は不成立の場合に開票しないとも結果を公開しないとも規定していないことを考慮すれば、本判決の不当性はいっそう明白になる。

明日、小平市住民投票情報公開裁判控訴審の第2回口頭弁論です。

「小平から知る権利を問う Ⅱ」は、非常に意義のあるシンポジウムでした。ご報告がままならないままになっており、大変申し訳ありません。

明日、小平市住民投票情報公開裁判控訴審の第二回口頭弁論が行われます。12月15日(月)の第一回口頭弁論で、裁判長からいきなり次回で判決言い渡しと言われ、反論を出したいと弁護士さんが伝えましたが、弁論が再開されるかどうかわかりません。判決言い渡しの場合、判決内容が大変心配です。どうぞご注目ください。

第二回口頭弁論
日時:2月4日(水)13:30~
場所:東京高等裁判所(地裁と同じ建物)817号法廷

判決が出た場合は、判決内容について弁護士さんに解説していただく予定にしておりますが、準備のため、開始までお待ちいただくようになるかと思います。

この裁判の詳細については、小平市住民投票情報公開裁判のページにまとめております。ご参照ください。