上告審資料

上告審資料

2015年4月9日に最高裁に上告した際の共同代表の声明を下につけました。

以下の資料は、裁判所に提出した「上告理由書」と「上告受理申立理由書」です。これら2つの書類の内容は、大体同じです。

両者に付けられている「序文」は、三宅弘弁護士が書いてくださったもので、多摩地域における自由民権運動が生んだ「五日市憲法草案」が、1968年に深澤家の「あかずの蔵」から発見されたことから書き始め、本件訴訟も、「民主主義を自力で作り出そうとする、多摩における自由人権の地下水脈をふまえて判断」すべきであり、憲法92条に謳われている「地方自治の本旨」に基づいて、『「あかずの蔵」に封印された住民投票用紙を、情報公開手続きによって解き放』ち、『多摩における自由と人権の歴史における、「地底の大江」を、より一層ひら』いてほしい、と訴えています。ぜひご一読ください。


最高裁判所への上告にあたって

2015.2.16

小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会 共同代表 水口和恵

一昨年5月に、私たち市民の直接請求によって実現した住民投票は、小平都市計画道路3・2・8号線計画を見直すべきか否か、「市民の意向を確認することを目的とする」(条例*第1条)ものでした。

*「東京都の小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線計画について住民の意思を問う住民投票条例」

住民投票条例成立後、市長提案によって加えられた投票率50%の成立要件によって「不成立」とされた住民投票の結果は、いまだ明らかにされていません。

市民の要望で実現した住民投票の結果を知りたい私たちは、情報公開条例に基づいて投票用紙の公開を求めましたが拒否され、一昨年8月に提訴しました。

住民投票条例には、市長提案で成立要件が加えられましたが、不成立の場合には開票しないという規定はありません。

一方、市の情報公開条例は、市民に知る権利を保障し、自治基本条例も、市民が「市政に関する情報を知る権利」や、「市政に参加をする権利」を保障しています。

小平市は、不成立の場合は開票しないというのが、改正された住民投票条例の趣旨であり、投票用紙を公開すれば投票の秘密を侵害することになる、と主張しました。

東京地裁の判決は、市の主張をほぼ全面的に認め、市民の「知る権利」については判断を示しませんでした。高裁の判決も、地裁の判決を踏襲し、住民投票条例は「投票を公にしないことをその趣旨及び目的としていることは明らか」として、投票用紙は「非公開情報に該当すると解するべき」としました。

この判決は、市民として到底納得できるものではありません。そもそも住民投票に投票率50%の成立要件をつけたことの妥当性も疑問ですが、「不成立の場合は開票しない」という条文がない条例が、「投票を公にしないことをその趣旨及び目的としていることは明らか」といえるのかは、大いに疑問です。また、投票用紙を公開しても、誰がどう投票したかわかるわけではないのに、「投票の秘密」を侵害する可能性があるから非公開が妥当、とするのも納得できません。

地裁判決について鑑定意見書を書いてくださった学習院大学名誉教授の戸松秀典先生は、「本件のような住民投票をめぐる紛争に裁判所がなるべく介入しないとの政策」を感じさせられる判決、と評しています。市民の知る権利の重要性を十分に考慮した判決とは到底思えません。

小平市は、裁判が終結するまでは投票用紙を保存しておくことに合意していますが、このまま市の主張が通って裁判が終結すれば、約3,000万円の税金を使って実施された住民投票の結果を小平市民は知ることができないまま、投票用紙が廃棄されてしまう可能性があります。投票結果は小平市民のものであり、それを市民に返してほしい、というのは市民の当然の権利ではないのか、最高裁判所がきちんと判断してくれることを望みます。