2月16日(月)最高裁への上告にあたって記者会見を行いました。

2月16日(月)最高裁への上告にあたって記者会見を行いました。充実した内容の記者会見に、この裁判の意義を改めて感じ、聞いていて胸が熱くなりました。

最初に、尾渡雄一朗弁護士が原告代理人として、本訴訟の概要、原告の主張、第一審判決の内容、控訴審判決の内容、上告審における主張について話されました。投票の秘密に関しては、具体的にどういう時に投票の秘密に触れるのか一切書いておらず、根拠無く断じていると指摘されています。

尾渡弁護士は、最後に、上告審における主張として、基本的にはこれまでの通り①法令秘情報に該当しないこと、②公開が要請されること、③投票の秘密が侵害されるおそれがないことを最高裁でも主張するとした上で、特に法令秘情報については、「単に法令により秘密とされた情報ではなく、秘密とするに足りる正当な根拠があってはじめて法令秘情報に該当する」と強調されていました。「地方公共団体が公開したくない情報を法令により秘密とすれば容易に非公開情報とすることが可能になり、情報公開制度を設けた意味がなくなってしまう」という点は、今、とても重要な問題だと感じました。

尾渡弁護士記者会見資料

また、反映させる会共同代表の水口和恵は、「市民の知る権利の重要性を十分に考慮した判決とは到底思えない」、「投票結果は小平市民のものであり、それを市民に返してほしい、というのは市民の当然の権利ではないのか、最高裁判所がきちんと判断してくれることを望みます」と意見を述べました。

*水口記者会見資料

この後、中島敏弁護士が、原告代理人としての主張に3点補足されました。

1)第二審は第一審よりも著しく憲法に反する判断をしている。判決文の4ページに「情報公開請求権は,知る権利の尊重により当然にその内容が保障されるわけではなく,条例によってその内容が決定されるものである」という文言があるが、これは知る権利が条例の規定によっていくらでも制限できるという内容だ。このような解釈が成り立ってはいけない。

2)小平市住民投票条例の趣旨・目的は、条例の第1条に明記されている「道路計画について、見直すか見直さないか、市民の意向を確認する」ということだ。「不成立の場合は開票しないこと」とし、小平市は何人が投票したかだけを公表し、見直すか見直さないかという市民の意向を公表していない。これは条例の趣旨・目的に反している。

3)投票の秘密について万全に担保する手段として、公証人制度にもとづく事実実験公正証書の制度で集計してもらうこととしているが、判決は「公職選挙法等の開票に関する規定に従わない投票の集計を行うことに投票の秘密を侵害する危険がないと断定することには,疑問の余地があるといわざるを得ない」とする。公証人には自分の取り扱う業務について罰則付きの秘密保持義務があり、秘密を漏洩したという事例は一度もない。高裁の判断は明らかにおかしい。

また、武田真一郎先生から5点の論点が指摘されました。

1)秘密とは何なのか。「秘密とは、非公知の事実であって秘密として保護に値するものをいう」とする最高裁の判例がある。なぜ住民投票の結果が秘密として保護に値するのか?全く理解できない。これが最大の問題だ。 役所は自分たちが決めたことを変えたくない。不利なことを隠そうとする。なぜ50%を超えないと成立しないと決めたのか?市民の声を聞きたくないのではないか?それが役所の本音では?そういう考えが保護に値するのか?これはおかしい。 この判決は、最高裁の判例に違反している。

2)情報公開は原則開示の原則だ。公開できない場合は、非公開とする側(市)に立証責任がある。投票用紙に記された情報が秘密に当たるとはいえないし、投票の秘密が害されることもあり得ない。控訴審で市は立証責任を果たしたとは言えない。高裁は条例の解釈を誤っている。

3)この判例が確定すると、本来秘密と認められないことを秘密とすることが認められてしまう。事実上、原則不開示となりかねず、情報公開制度が非常に後退することになる。

4)この判例が確定すると、住民投票制度に悪影響を与える。他の行政がまねをするだろう。徳島や小平のように50%の成立要件をつけるやり方を正当と認めることになりかねない。

5)所沢の今回の住民投票では絶対得票率による尊重要件をつけている。この場合、必ず開票しなければいけない。今、市長、議会、市民でこの結果をどうするかを真剣に議論している。このほうが市政の発展にとってはるかに意味、価値がある。小平の制度にいかに問題が多いかが浮き彫りになった。

(文責:尾川)

DSC_1567