小平3・2・8号線を「住民参加で見直す」としたら?

小平市中央公民館サークルフェアに参加して、企画展示とワークショップを開催しました。

◆展示 2016年11月1日(火)~6日(日) ※3日(木)は休み
小平中央公民館1階ギャラリーにて

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2013年に小平市で行われた住民投票は、投票率50%に達しなかったため開票されなかったけれど・・・・
成立して開票され、「都の道路計画を見直す」という意見が多かったとしたら・・・・、
道路計画をどのように見直すかについて市民同士の話し合いが行われたことでしょう。
それは、日本で都市計画に市民参加するはじめの一歩になったことでしょう。

都市計画へ市民の意見を反映させるにはどうしたらいいのでしょう。
小平3・2・8号線を例にして、市民参加を模擬体験する展示をしました。
具体的には、小平3・2・8号線について市民が意見を出す試みとして、
都の現行案と市民が考えた代替案いくつかを掲示して、
来訪者の方にどの案がいいと思うかシールを貼ってもらいました。
展示期間中ブースにきてくださった沢山の方達からいろいろなお話を伺うことができました。
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各案の特徴・メリットとデメリット

A案 東京都の原案

南北交通がスムーズになる。玉川上水と雑木林、閑静な住宅地が失われる。

B案 地下案(代替案1)

東京都案と同じ経路。玉川上水と雑木林の緑を残せる。工事費維持費が高い。

C案 府中街道拡幅案(代替案2)―3・2・8号線の国分寺市との境、五日市街道への接続方法に2案あり

 C-1案 府中街道の久右衛門橋から五日市街道まで新たな道路を作る案

 C-2案 五日市街道まで現在の府中街道を利用する案

  • 府中街道を広げて繋ぐので道路は一本で済む。玉川上水と雑木林の緑を残せる。
  • 東京都案より少ないが新たな立ち退きが生じる。

D案 新設道路不要案

  • 右折レーンの設置、クランクの解消など府中街道を段階的に改良していく。
  • 五日市街道から青梅街道まで2車線なので、渋滞が生じる可能性がある。

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シールを貼ってくださった方は93名でした。

(内訳:A案16名、B案6名、C-1案10名、C-2案5名、D案56名)
D案にシールを貼った方が一番多く、次いで、A案16名、C-1案10名、B案6名、C-2案5名の順でした。

参加された方の意見

  • 青梅街道の府中街道とすでに完成している3・2・8号線の間を広くして、信号待ちの大型車すれ違える幅を確保すればクランクも十分車は流れる。新しく道路を作らなくても今のままで大丈夫では。
  • 地下案がいい。住民同士の話し合いは大切と思う。
  • タクシーやトラック、宅急便等日頃道路を使っているドライバーの意見を聞くといいアイデアが出るのでは。
  • 住民投票に行った。D案がいいと思う。
  • 玉川上水の環境に魅かれて小平に越して来た。シール貼りをして市民が意見を出すことで、道路計画が見直されるのか。
  • 道路建設は決まったこと。早く道路ができたら便利になる。
  • 公共の利益のために賛成すべき。道路課計画地の人は道路計画があるのを知って住んでいるんだろう。道路計画地には家を建てさせなければいいのでは。
  • 府中街道が少しは渋滞しても使えているのだから、このくらいでよいと我慢することが大事。道路以外でももっと大変な我慢していることもあるのだから。まして貴重な環境をつぶしてまでやることではない。
  • 府中街道を少しの区間活用するためだけに道路を曲げるC案は、活用する長さが短かすぎてどうかと思う。地下は技術的に難しいのではないか。

◆ワークショップ(体験会)2016年11月5日(土)13:00~15:30

小平中央公民館2階工芸室にて、参加者:8名

都の原案や代替案についてどれがいいと思うか、自分の考えを表明するシール貼りからさらに一歩進めて市民参加を模索したいと、自分が選んだ案について発表し、参加者同士で話し合い、意見交換をするワークショップを開催しました。

ワークシートに、都の案、代替案のよいと思う案に〇や△等をつけて、それをつけた理由やコメントを記入したあと、各自自分のワークシートに書いた内容を発表後、自由に話し合いました。

意見交換をすることによって、様々な角度からの意見を聞くことができ、それによって自分の視点や思考の幅が広がる感じがしました。市民同士が話し合うことは意義があると感じました。

<各案への意見 抜粋>

東京都の原案(A案)について

  • 緑を破壊するのは、常識的な考え方とは思われない。
  • (市民の多くが都の案に反対してるのなら)小平市は都の案に反対と意思表示すべき
  • C案等、代替案を市として都に提案すべき。
  • 道路ができて立ち退く人に対して、市も保障すべき。
  • 立ち退いている人は、小平市内等近くに移る人が多い。

代替案1(地下案 B案)について

  • 東西のアクセスを考えるとこの案は不可能
  • 工事費や環境への影響を考えると難しいのではないか。
  • 対案として実現可能なのは地下案ではないか。トンネルをなるべく長くすべき。

代替案2(府中街道拡幅案 C案)

C-1 府中街道の久右衛門橋から五日市街道まで新たな道路を作る案

  • この案だと自宅が掛かってしまう。道路に掛かっていない残地が買い取られないのなら売りたくない。
  • ルートとして、猫坂(都案の道路予定地)を使って府中街道につなげるのも一案だと思う。 猫坂は用地買収が進んでいる。
  • 早く都市計画変更して、この地域に道路は府中街道1本にするのがいい。
  • 道路を作らないと、国分寺部分からの4車線が小平でストップしてしまう。北に繋げるには、C-1が流れとしてスムーズだ。

C-2 五日市街道まで現在の府中街道を利用する案

  • この案はとりあえずDを選択しておいて、道路が必要になった時次の手として使いやすい。

新設道路不要案(D)

  • これから車も、人口も減るのに、新しい道路は不要
  • 考え方として合理的・現実的。都・行政の考えは一般的に見ると常識的ではない。
  • 府中街道と青梅街道のクランクは問題で、解消するべき。
  • 府中街道は、西国分寺まで都市計画道路になっている。小平部分も都市計画道路にすべき。
  • 住人、歩行者、自転車にとっては、まず府中街道を改良すべき。
  • まずDでやってみて、ゆっくり改良しながら様子を見て、どうしても道路が必要であればC案を採用したらいい。

≪全体を通しての意見 抜粋≫

  • 今頃代替案を出しても、すでにかなり土地が売られ更地になってきている。
  • 現在の道路事業を中止した場合、都は買収をした土地を売ればいい。買収した土地をそのまま緑道や公園にすればいい。
  • A案、B案の人がいなかったが、意見を聞きたい。
  • 賛成している人は、車が便利になると単純に考えていて、立ち退く人の大変さを考えていない。
  • 府中街道のクランクはどうにかすべきだからとA案を選ぶ人も多い。

★これからも、この企画『小平3・2・8号線を「住民参加で見直す」としたら?』を行っていく予定です。

具体的な開催日程は、決まり次第お知らせします。機会があれば、ぜひご参加ください。

(文責 馬場悦子)

小平3・2・8号線を「住民参加で見直す」としたら?

小平中央公民館サークルフェア参加企画
小平3・2・8号線を「住民参加 で見直す」としたら?

小平都市計画道路3・2・8号線を「住民参加で見直す」べきか、「見直しは必要ない」かについて、2013年に小平市で行われた住民投票は、投票率50%に達しなかったため開票されなかったけれど・・・・。その都市計画道路3・2・8号線を例にして、住民参加のまちづくりの可能性について、一緒に考えてみませんか?

展示:小平中央公民館1階ギャラリーにて
2016年11月1日(火)~6日(日)9:00~17:00
*1日(火)は13:00~、6日(日)は16:00まで。3日(木・休)はお休み。
・・・小平都市計画道路3・2・8号線を見直すとしたら? 東京都の現行案と、それに対する代替案いくつかを展示します。あなたがいいと思う案にシールを付けてください。

体験会:小平中央公民館2階工芸室にて
2016年11月5日(土)13:00~15:30
・・・東京都の現行案と、代替案いつくかのどれがいいと思うか、皆で話し合うワークショップをします。気軽にご参加ください。

問合せ先:水口(090-8341-9170)

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2016年10月16日 小平3・3・3号線予定地を歩く会(第10回)西武国分寺線西側~玉川上水交差部まで

2016年10月16日 日曜日、だいぶ涼しくなった秋の曇り空の中、小平3・3・3号線の第10回目の予定を歩く会を行った。このルートも4回目で、最終回。参加者13名参加、今回で3ルートを完歩した参加者もあり、ようやく完成した、完歩証を用意して望んだ。

国分寺線西側の畑を見て、たかの街道を西に移動して、創価グラウンドの北側、五中の北側を通り、工事が進んでいる武蔵野美術大学のキャンパスなどを見て、介護老人保険施設の黎明会の敷地を通り、住宅街、いなげやの裏を通り、小川用水、彫刻の谷緑道、都営中島アパート南側、新堀用水の胎内堀出口、玉川上水緑道交差部を見て、3.5時間で終了。皆様お疲れ様でした。

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国分寺線の西側の畑。予定地。小平3・3・3号線は写真手前(東)から奥(西)へ通る。東側在住出席者が西側の農地の広さに驚いていた。小平はも東と西は違う。大きな農地も小平3・3・3で南北に分断される。

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五中の北側の予定地。集合住宅が予定地。小平3・3・3号線は写真手前(東)から奥(西)へ通る。この写真の左(南)にある農家ショップの方とお話ししたが、小平3・3・3号線早く出来た方が良いという御意見。農家の方、都市計画道路に肯定的な人、何回か聞いたことがある。

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小川一丁目地域センター(児童館)の南側の公園にある小川一丁目土地区画整理事業のオブジェ。武蔵野美術大学が制作のようだ。

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小平3・3・3号線をキャンパスを通すことで獲得した武蔵野美術大学の北側のグラウンド

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武蔵野美術大学西側から見た、小平3・3・3号線のキャンパス内の工事の様子。道路沿いの樹木はもともと予定にあったものを移植したそうだ。優先整備路線にもなっていないエリアで小平3・3・3ができるとしても20年以上先の話だ。この時期に、このエリアの工事をすることで約24億円の東京都の予算を使うことは税金の無駄使いだと思う。地元の利便性向上というには高すぎる。詳しくはこちら

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小平3・3・3予定地の送電塔。何度見ても大きい。ある人が言っていたが、送電塔の移動は、移動先を先につくって解体するという方法で、行われることがあるらしい。

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黎明会の左側(南)の寮と右側(北)の施設の間の駐車場を写真手前(東)から奥(西)へ通る。予定地を歩く会を開催しない限り、この地に入ることはなかった。小平に、養護学校や、黎明会のような福祉施設があることを知った。自分としても大変勉強になった。南台病院も黎明会の施設であることも知った。

歴史ある施設ということを、参加者が言っていたので、黎明会ホームページを見ると以下のヒストリーが。

昭和20年、黎明会初期の建物。東京都台東区池之端七軒町において、私設社会事業団体厚生会館として発足。戦災者、引揚者、浮浪児等を収容・保護する活動を開始。
昭和22年、財団法人厚生会館に改組。以降、生活保護法の更生施設、宿泊提供施設、救護施設、診療施設、宿泊所などを設置運営する
昭和32年、小平市小川町に12,000㎡の土地を取得(その後拡張を図り現在は18,405㎡)。救護施設「黎明寮」を開設し、救護施設対象者を移転。第二種社会福祉事業無料低額診療施設「南台病院」(旧黎明会診療所)を開設

戦後の戦災者、引揚者、浮浪児の受入を行ってきた施設がルーツが施設とは、全く知らなかった。

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黎明会を西側に抜けて、ガーデンハイツの前を西側に歩く参加者。この路地は予定地にかかっていない。小平3・3・3号線は、写真左側(南側)の住宅街をこの道路に平行して手前(東側)から奥(西側)へ通る。

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彫刻の谷緑道。彫刻があるから彫刻の谷緑道だそうだ。知らなかった。彫刻は目立たない。この写真の左(東側)に立川通りから、小平3・4・24(小川橋から東大和駅を結ぶ通り)の間の区間の小平3・3・3は、事業認可がおりている。彫刻の谷緑道は暗渠になる。

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小平3・4・24(小川橋から東大和駅を結ぶ通り)を越えて中島町へ。小平3・3・3号線は写真手前(東)から奥(西)へ通る。右側(北)の東京靴流通センターの建物と、左側(南)のドラックストアの駐車場を通る。

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新堀用水、胎内堀から出てくる歴史的遺構。小平市により護岸工事が行われる予定で検討されている。詳しくは、第7回の歩く会の解説を見て欲しい。こちらは小平3・3・3の予定地ではない。

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西中島橋を渡り、立川側に出て歩く会は終了。だいぶ日が短くなった。

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完歩証2名に発行。喜んでもらえたので良かった。

参加者の意見は以下の通り。

  • やれば整備できるけど膨大なお金がかかる。リターンがあるのか。どういうプロセスで進めることで納得感が得られるのか、東京都は考えないといけないだろう。
  • 人口が減っていく中でニーズはあるのか。無駄な道路だと思う。
  • 4小で1年~6年まで玉川上水を勉強する機会を持っている。小平市はグリーンロードを売り物にしているのに、全く大事にしていない。東京都の計画があるのはわかるが、小平市は用水があり街が発展してきた歴史がある。未来を見据えたまちづくりを考える必要がある。
  • 残された農地、道路、いきなりなくならない。すこしずつなくなり、気付くと昔の姿が思い出せなくなっている。緑を残した方が小平市の財産になると思う。
  • 小平市は、ゆったり住んでいるように見えるが実は人口密度高い。1㎢あたりで1万人近く住んでいる。人口密度の高い住宅街を通る道路と言うことを忘れてはいけない。
  • 武蔵美より西側、初めて歩いた。緑の景観。温かい物を感じる。都市計画道路について、お金がかかり大きく街並みが変わる。他の都道府県の見直しの動きなどにも注目したい。
  • 中島町、初めてじっくり見た。小平市は、他市と比べても東京都のまちづくりに必要以上にしばられている。地域から動かしていく必要があると思う。
  • 小平3・3・3号線の是非はわからない。日本の人口が減っても東京の一極集中が続くのでしばらくは方針はかわらないのではないか。畑が相続税のため売却するたびに減少していく問題が大きいと思う。税制がかわらないと畑はなくなってしまう。問題の根は深い。鷹の台駅前に久しぶりに来たら松明堂がなくなったのは残念。
  • 玉川上水や緑にひかれて、市外から参加した。完歩出来て良かった。
  • ようやくこの西側ルートを歩き終えた。市境と言うことがあり、焼却場など迷惑施設が集中している場所であるが、紅葉の時期とても素敵、皆さんに見てもらいたかった。これは残さないと行けないというものがないと、なかなか道路の問題に関心が集まらず、難しい。

今回で、西側ルートの定期開催は最後の会となった。4回目も参加者がまずまず多かったので良かった。小平市の都市計画マスタープランの改定年度ということもあって、小平3・3・3号線の予定地を歩く会を企画した。10回が終わった。都市マスはほぼ案ができあがり、予定通り東京都や小平市のやりたい開発計画が載るという内容になっているが、少しでも市民が意見を出すことで、市民参加型のマスタープランに近づいて欲しいと思う。

次回は、中央部で、11/13(日)13:30集合で、西武国分寺線鷹の台駅から、あかしあ通りまでを歩きます。中央部の定期開催も最終回になります。是非ご参加下さい。

(文責 神尾直志)

 

2016年7月16日 小平3・2・8号線現地を歩く会報告

小平3・2・8号線現地を歩く会を7月16日に開催した。東京学芸大学で小中学校の社会科の先生を目指して勉強中の学生さんたちから連絡を頂き、7月16日土曜日の午後、学芸大学生2年、3年、4年の6名のメンバーとともに、小平3・2・8号線現地を歩く会を行った。東京学芸大学は小平3・2・8号線現地からもそれほど遠くない場所にある。

彼らの話によると、小中学生の社会科の授業で、事例を通じて社会を考える授業のプログラムをつくる実習があり、今年はテーマとして小平市または府中市が割り振られ、小平市を選んだそうだ。当初は、小平市観光まちづくり振興プランにある「プチ田舎計画」にフォーカスしてもろもろ調査していたが、小平3・2・8号線開発計画の存在を知って、住民投票が行われたことも知って、興味をもってしらべていくうちに、こちらのテーマの方が教材としておもしろいと考えて変更したとのこと。既に、メンバー数名で現地の見学を行い、小平3・2・8号線計画についてある程度の知識をもっていた。

用地買収_小川一丁目の328と333交差点あたり

用地買収が進んでいる小川一丁目の予定地。小平3・2・8号線は写真の奥(南側)から手前(北側)に通る。36mの道幅。東西両側が買収されて、36mの道幅が想像できるようになってきた。

小平中央公園の雑木林

小平中央公園の東側に隣接する雑木林。柵の左側(東側)が、小平3・2・8号線予定地。右側(西側)が小平中央公園として残される。まだセミの鳴き声も少しで、静かな午後だった。雑木林も半分残るから良いではないかと言う人もいるが、ここに来れば乱暴な意見であることに気付くはずだ。すぐ横に4車線、時速60kmの幹線道路が通れば、右側(西側)に残される雑木林の価値は半減どころではない。騒音・振動・排ガスでゆっくり過ごせるような環境ではなくなる。

府中街道、久右ヱ門橋交差部

小平3・2・8号線の東側150mくらいにある府中街道が玉川上水と交差する久右衛門橋。休日のお昼だったので渋滞と言うほどではなかったが、幹線道路にしては狭く歩道も狭い。緑がしげっているところに玉川上水緑道。ここは道幅10mくらい。小平3・2・8号線が玉川上水と交差する際の平面橋は、この3.6倍、多くの樹木が伐採される。

参加者たち国分寺328側を見る

五日市街道から、南側の国分寺3・2・8号線を見る参加者たち。

五日市街道から

五日市街道から手前(北側)の小平3・2・8号線の南側の始点。江戸時代からここに住んでいると思われる大きな農家のお宅だった。屋敷林、くら、お屋敷、もろとも立ち退いて広々としている。

上水本町素敵な屋敷林

上水本町1丁目の予定地。写真の奥(南側)は栗林。奥(南側)から手前(北側)に、右側(西側)の住居すれすれを小平3・2・8号線は通る。左側(東側)は屋敷林も予定地。いつも手入れされていて素敵だ。恐らく地主さんは、道路予定地だから屋敷林として残しているのだろう。失われる自然には、雑木林と玉川上水だけではなく、栗林や屋敷林も含まれる。

上水本町、玉川上水の南側

奥(北側)に見えるのが玉川上水の緑道。小平3・2・8号線は写真手前(南側)から奥(北側)の玉川上水側へ36m幅で通る。右側(東側)の農地と、左側(西側)の住宅も予定地

参加者の学芸大学の学生の御意見は以下の通り。

  • 一度見学していたが、詳しく解説してもらうフィールドワークを通してしていろんな事がわかった。自分としても何が解決になるのか、わからない。ゆっくり考えたい。
  • 選挙では道路計画は論点にならず、道路計画に対して民意を反映されないという間接民主主義の弱点について考えさせられた。直接訴える方法は陳情・請願、住民投票などもあるが、どうあるべきか考えてみたい。
  • 以前、地権者にインタビューしたときは、地権者は既に引っ越しすることを決めていると言われていた。仕方ないという感じだった。今日はまた別の地権者の声を聞けた。今日学んだことを他に活かせる視点を持ちたいと思った。
  • 社会科教育のひとつに公民的資質の育成というのがある。公民的資質には、多角的な視点で行政を批判的に見る思考力も求められる。人によってそれぞれの考えを持つ、自分の考えを根拠をもって言える力を養うことが求められている。詳しくは、森分 孝治(もりわけ たかはる)先生がこの分野の第一人者。
  • 計画に対して、賛成・反対の両方の声をとりあげる力が行政にはあるべきだと思った。

6名参加のうち、ディスカッションに残ってくれた4名は、7月10日の参議院選挙で全員投票したそうだ。社会科の先生を目指す学生さんだけあり、しっかり勉強しており、メモの取り方もすごかった。一字一句逃さずという感じのメモぶりに圧倒された。「公民的資質の育成」については、教えて頂き勉強になった。こんな若者達が学校で社会を教えることになるなら、日本は捨てたものじゃない。なお、4年生の彼は、なんと東京都庁の職員を目指してるとのこと。都市整備局や建設局に行ったら、どうなるんだろうか。都庁に就職しても、今回の歩く会で感じたことを忘れないで欲しい。

今回、小川一丁目の予定地で2mだけ自宅が小平3・2・8号線にかかるというお宅のお話しを聞くことが出来た。母屋をすこしだけ削る事になるのだが、そうなると建ぺい率が越えてしまい違法建築になり住めなくなるとのことだった。公金を使っての用地買収の対象は、道路予定地の部分だけが原則で、果たしてどのくらいで購入してもらえるのかと大変心配そうな表情だった。

小平3・2・8号線計画決定が1962年で、このときは幅員28mの計画だった。過去の住宅地図でこのあたりの地図を追いかけると、84年の住宅地図で、当地が小平3・2・8号線の線にあたらないように街をつくり変え区画が売り出されたことがわかる。恐らく住民の方は、この地に永住できると思って住宅を建てたと思われる。しかし2010年での小平3・2・8号線計画の東京都による住民向け説明会で幅員36mの変更素案となっており、その後の手続きを経て小平市及び東京都の都市計画審議会で36mの変更案が承認されて幅員36mにて2014年7月に事業認可された。28mから36mに拡張したのには、周辺の住民へ配慮し、また歩道や自転車道や街路樹のスペースを広くするためなのであるが、このような問題が個別に起きていることを忘れてはならない。

(文責 神尾 直志)

2016年6月26日 小平3・3・3号線予定地を歩く会(第7回)西武国分寺線西側~玉川上水交差部まで

2016年6月26日 日曜日、梅雨の合間の一日でしたが、天候にも恵まれ、小平3・3・3号線の第7回目の予定を歩く会を行った。このルートも3回目、人が集まるか懸念されたが、参加者7名。

国分寺線西側の畑を見て、たかの街道を西に移動して、創価グランドの北側、五中の北側を通り、工事が進んでいる武蔵野美術大学の東西などを見て、介護老人保険施設の黎明会の敷地を通り、住宅街、いなげやを通り、小川用水、都営中島アパート、新堀用水のたぬき堀、玉川上水緑道交差部を見て、2.5時間。玉川上水沿いのオープンカフェで、長めのブリーフィングを行い、無事に終了した。

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西武国分寺線の西側いある予定地。じゃがいも畑、防砂林の役割を果たすお茶が右上、東西にわたっているのが見える。右奥が北、屋敷林、その後ろに農家の自宅、青梅街道がある。このアングルは、17世紀の開拓当初からあまりかわっていないはずだ。数少なくなっている大きめの農地。小平3・3・3はこの農地を東西に横切り南北に分断する。

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たかの街道 古くからある生活道路、狭い。都市計画マスタープランの無作為抽出アンケートでも、生活道路の改善・改良の声は多数あった。拡幅して歩道・自転車道の整備が望まれるが、建物が道路付近まできていてセットバックも難しい。建替のタイミングなどで、少しずつでも歩道の整備を進めるべきだ。

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武蔵野美術大学内の工事。着々と進んでいる。左側(南)から小平3・3・3の地下を通り、写真右側(北側)の端にうつっている14号館に地下道が出来るそうだ。奥に見える送電塔が、小平3・3・3号線上にあり予定地であることわかる

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小平3・3・3にキャンパスを売った補償金で獲得したと思われる武蔵野美術大学北側にあるグランド。かなりキャンパスは拡がった。都税によって私大のキャンパスが拡張されるってどうなんだろうか。

H24_小平市一般会計予算決算書付属書類より

小平市一般会計決算付属書のH24年のコピー。中央図書館の2階で誰でも見ることが出来る。下段の新みちづくり・まちづくりパートナー事業として全額東京都予算の小平市への委託事業。武蔵美の用地買収とは明記されていないが、この区間に買収する土地は武蔵美だけ。公有財産購入費 7億4千万円で、補償・補填及び賠償金が11億7千万円が武蔵美に支払われていることがわかる。

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小川一丁目土地区画整理事業によってつくられた公園。つまらない名前だ。地権者は土地を提供。市は約4億7千万円の予算を投じて水道、道路などのインフラが整備し、地価をあげて住宅地として販売して、地権者の土地購入費や、補償費になる。一部は、地域センターや公園になり地域に還元されるという仕組みが土地区画整理事業。このあたりに拡がる玉川上水から青梅街道まで拡がっていた短冊状の農地の多くが住宅となり消失してしまった。人口減少・少子高齢化社会を迎え、開発から環境保全にシフトしていく時期が来ている。

 

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12小通り沿いの地中海風の集合住宅。広い敷地に2階建てなのは、小平3・3・3号線の予定地の建築規制のため。この集合住宅はまるまる小平3・3・3に重なっている。

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彫刻の谷緑道と小川用水。この上を小平3・3・3が通過する。このエリアの120mの小平3・3・3の整備は事業認可取得がおわり間もなく行われる。小平3・4・24号線の整備に合わせ得て、この部分の約120mだけのの小平3・3・3号線が整備されて彫刻の谷緑道は暗渠になる。

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右(北)側の中島町都営アパート前が小平3・3・3の予定地、左(南)側は玉川上水。都営アパートの前を都市計画道路が予定されているケースは多い。

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小平333交差部より東側で、この部分は交差はしていない。新堀用水の狸堀の出口の北側。参加者の松山さんに説明頂いている。写真上部が二軒の住宅になり、崩れる危険性が出て来たため小平市により護岸工事が検討されているとのこと。今年度予算は調査や設計などで900万円強。この予算で新堀用水に隣接する民地20平方メートル程度を購入すれば崩落の危険性は回避出来る。また当面1億数千万円程度の工事予算が投じられるとのこと。住宅が建てられる前は樹木が生えていたようで、その時に手を討てば現状の素掘りの状態で保全できたのではないか?後手にまわったことで、貴重な遺構を破壊して、市の予算が使われることになる。何かおかしい。

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明治の初期につくられた新堀用水。狸堀の暗渠部の出口、地上部に変わるところ。小平4小の環境教育の場として、使われている。親水公園にもなっている、自然とふれあえる貴重な遊び場

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小平3・3・3と玉川上水の交差部のすぐ西側にある緑道と隣接したオープンカフェでブリーフィング。皆さんお疲れ様でした。お店の人が、蚊取り線香を出してくれました。ソフトクリームおいしかったです。

参加者の主な意見

  • 玉川上水交差部が気になる。玉川上水の花を10分間観察した。昆虫、ハエ、蛾、蝶、いろんな生き物が来る。改めて貴重な環境の大切さを学んだ。
  • 東京都の都市計画道路の整備の考え方、根本的におかしい。みんなの声をうけて進める公共工事が目的も進め方も間違えたまま行政が動いてしまっている。たかの街道、狭く問題がある。整備が必要。
  • 不利益を受ける人が必ずしも声を出すとは限らないと、ハンナ・アレントは言っている。辺野古でも、実感する例が見られた。
  • 行政を変えられるのは政治のはず。都市計画審議会など、諮問委員会のメンバーを第三者機関に選ばせるというのは有効な方法。行政側に選ばせると行政に都合の良いメンバーの諮問委員会になってしまい歯止めが効かなくなる。
  • 武蔵美周辺で土地区画整理事業、小平3・3・3でモデル道路をつくった。狭いエリアで見たら合理かもしれない。武蔵美も敷地が拡がって良かったのかもしれない。計画全体を見たらどうなのか。全体を考えて判断しないといけない。
  • 新堀用水の胎内堀出口。4小の環境教育で社会・歴史を学ぶ機会になっている。残して伝えていきたい場所。小平3・3・3号線、何故いまごろ復活してきたのか、用地買収も大変、行政にとってもおいしいとは思えないことをやっていると思う。
  • (出来てしまうなら)小平3·2·8や小平3·3·3に合わせたまちづくりをすべきだ。
  • 小平市の環境政策に係わっているが、都市計画との整合性どうなっているのか。主要幹線道路について一部の人ではなくて多くの人が関心をもつようにならないといけない。地域の特性を活かしたまちづくり・都市計画になるべきだ。
  • 市民税・都市計画税、払ってこれかよ、と思う。子どもには決定権がない。大人の無関心の犠牲になっている。
  • 武蔵美の学生は何も知らない。大学に来て課題をやって、サークルで遊んで周りのことを知らずに生きている。武蔵美の中の工事がスタートしている。この地域の変化に目を向ける必要がある。

「こだいら観光まちづくり協会」が6月28日に設立されて、事務局が学園東町に置かれ、事務局長と常勤職員各1人、非常勤職員2人の体制で運営。市の補助金2,230万円のほか、会費収入などが運営資金として、今年度は観光ポータルサイトを開設したり、街歩きで携帯できる観光総合ガイドブックを作成したりするそうだ。

小平3・3・3号線予定地を歩くと、いったい何をやっているんだと言わざるを得ない。観光まちづくり協会設立に先だってつくられた小平市観光まちづくり振興プランを読むと、小平市の地域資源に、小平グリーンロード、短冊形の農地、用水路があげられている。中島町では、玉川上水と斜めに交差、花小金井の多摩湖自転車道では、200m以上重なる。小川用水と彫刻の谷緑道は、一部を暗渠にする。小平市は、いつまで見て見ぬふりを続けるのか?小平市民は、自分が住んでいる街を知って、何が重要かを考えないといけない。

 

小平市観光振興まちづくりプラン2

小平市観光振興まちづくりプランのP18抜粋。市外の人へアンケート。認知度は「言ったことがある」「知っている」の比率。魅力度は「魅力的または関心がある」「やや魅力的またはやや関心がある」の比率。狭山・境緑道とは、小平グリーンロードの一部である多摩湖自転車道のこと

小平市観光振興まちづくりプラン

小平市観光振興まちづくりプランのP4抜粋

観光まちづくり振興プランには、小平市都市計画マスタープランと整合を図ると記載がある。H29年3月までの改訂中の小平市都市計画マスタープランには、小平3・3・3号線を地域資源と衝突していることを課題としてあげて、対策を検討すべきだ。

次回の小平3・3・3号線予定地を歩く会は、7/18(月) 13:30海の日祭日、西武国分寺線鷹の台駅集合で、あかしあ通りまでです。

(文責 神尾 直志)